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お店について

お店について

我ながら非常にわかりにくい場所でお店を始めたと思う。
奥まった場所にある、事務所の横。元々は印刷工場だった場所を改装してお店を始めた。
お店の手前には今も印刷所の事務所があって、大家のおばあちゃんと息子さんがよく出入りしている。おばあちゃんが地域の人気者で、お友達もたくさん来られている。僕がその立ち話に参加していることがあるのでお越しの方はびっくりさせたらすみません。

この物件は変わったところがたくさんある。約半世紀前に建てられてずっと印刷工場として使われてきた物件なので、その名残がそこかしこに残っているから。
内装で壁を建てたりだとかある程度変えた部分もあるが、基本的にはできるだけ工場の時のものを残していることが多い。
奥の空間には長方形のコンクリート製の立ち上がりがふたつ。これは印刷工場として稼働している際に使用されていた、大きな印刷機械を設置するための基礎の部分がそのまま残っていた。

それを見た時に、なんとなくここが半世紀も印刷工場とした頑張ってきた足跡みたいなものを残したいなと思って、基礎はそのまま残してディスプレイや商品の陳列に使うことにした。ひとつは通りを抜けた庭のようなイメージ。もう一つは商品を並べるための棚として。
黒くなっているのはコンクリートに染み込んだインクの跡で、これも長年の仕事の営みの影に思えてすごく気に入っている。解体工事の際はインクが堆積して層になっていたため削ったが、インクの油分がコンクリートまで染み込んでいて、結果として濡れたような質感がすごく良いなと思う。

お越しくださった方はお分かりかと思うが、少しだけテーブルと壁が近いなぁ、とかのほのかな違和感はそれが原因なので、そんなことがあったんだなぁと思っていただいて、許していただけると嬉しい。

内装は一級建築士の駒井さんに一緒に考えていただいた。【駒井さんHP
店内は僕のアイディアと駒井さんのアイディアが点在しているが、別の人格のアイディアをうまく調和させていただいたのは駒井さんの手腕だと思う。
なんというか、丸投げにするでもなく、最初に要望を全て伝えて終わりというわけでもなく、文字通り伴走していただく形で勧められて非常に面白かった。
面白い提案をしていただいたり、こちらのわがままも聞いていただけたりする方で得難い経験ができたと思う。大変感謝しています。
工事の終盤にボソッと「今までの物件でこんなに細かく考えたことないなぁ」とおっしゃっていただいたが、この一言で彼の苦労が目に見え、申し訳なく思いつつ、内装を考えるのをもう一回やってみたいなと思っている。
どういった建築士の方なのかは、お店を見ていただければわかるのではと思います。