MASAHIRO MARUYAMA 【untitled】 MM-0107
MASAHIRO MARUYAMAはその自由性について語られることが多い。ブランドコンセプトの「Unfinished Art」というと、「手書きでデザインしたものをそのまま眼鏡にする」という特異性に依るものだと思う。
実際眼鏡でよく言われる「デザイン」の枠ではなく、「アート」としての表現だと思う。
ただこれは私見であるが、眼鏡という完成された形があってのことである。
「眼前12mmの位置に2枚のレンズを固定する」という目的に対して、現行の眼鏡の形が一種の正解を出している。この形をベースに考えれば、ある程度飛んだ発想の眼鏡がきちんと成立するのも頷ける。
ただし、それが良いものになるのかはわからない。
.
MASAHIRO MARUYAMAは固定概念に縛られず、自由な発想と「こうでなくでも良い」と疑問を投げかけ、それに対する問いを眼鏡で表現している。
その自由性の中で、毎シーズンテーマを決めて作っていたデザインだが、昨シーズンは「untitled」をテーマに眼鏡のデザインを始めた。
(untitledなんてこんなもん何も定義していないのと同じでは?)と捻くれた自分が言う。これに関しては他の眼鏡店でも同じように感じた人間がいたであろうことは想像に難くない。
一方で自由の難しさについて考えたい。私の敬愛する福田恆存が著書で自由であることは難しく、「何かを成したい要求、何かを成しうる能力、何かをなさねばならぬ責任」の三つに支えられているものだと記している。野放図の自由は身を滅ぼし、扱うことの難しさを語り、制限があることの気安さを説明している。
考えてもみてほしい。「自由になんでもやって良い」と言われて、何か思いつくことの方が難しいことを。
我々は小学生時代の自由研究にあれほど苦しめられたと思うが、その苦しみを思い出した方が良いかもしれない。
そう考えると当初の考えとは異なり、なかなか苦難の道を選んだのだろうなと思う。
「untitled」というテーマはかなり挑戦的なものだ。
.

このフレームは発表された展示会では「丸山さんが集めていたヴィンテージの鋲を集めて型を作り、それを一つのメガネに全て使った」というもの。
鋲の形にも国ごとの違いがある。3ピンや星型はフランス、ダイヤ型はアメリカのフレームでよく見られる。
そういう意味ではかなり多国籍な感じになるし、ここまで集めるともはや「MASAHIRO MARUYAMA」以外の何者でもない。
ハンドドローのラインやたくさんついたピンに目が行きがちだが、この裏の鋲の取り付けがややこしい。既存のパーツではなく、特注で作っていることがわかる。
やりたいことのためにここまでするのがMASAHIRO MARUYAMA というブランドだということがわかっていただけると思う。


.
デザインのベースはボストン型にもラウンドにも見える。どこか抽象的で曖昧な形。それをここまで太くすることで存在感を出してている。
こうしてみると左右の異なりは顕著だが顔に乗せるとそれほどでもなく、意外とすんなりと眼鏡として存在してくれる。手書きのラインをそのまま眼鏡にするスタイルはそう聞くと奇抜に思えるが、大抵の人の顔は左右非対称なのですんなり馴染み、慣れてくれば気づいている自分だけが楽しい、という楽しみ方もある。
眼鏡の楽しみ方は人それぞれだが、私個人はこれくらいの楽しみ方で良いと思う。
周りからの見られ方なんて、気にしなくて良いのだから。
.
.
【ブランド】 MASAHIRO MARUYAMA
【モデル】MM-0107
【サイズ】レンズ幅44mm ブリッジ幅26mm レンズの高さ42mm
