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AHLEM Place Coluche

AHLEM Place Coluche

AHLEMの代表的なラウンドのメタルフレーム。
パリの13区と14区の境目にある「Place Coluche(コリューシュ)」という広場があり、それから名付けられています。
そしてその広場の名前であるColucheはフランスの著名なコメディアンの名前から。
没後20年を記念して名付けられたそうです。

デザインは王道のクラシックな丸眼鏡。ヴィンテージのメタルのような雰囲気もある。これは後述するメッキの要素も含まれているだろう。
昔のメッキのフレームや金張りのフレームに近い印象がある。

なんの変哲もない丸眼鏡と思われるかもしれないが、私の思うAHLEMの良さはこういったシンプルなフレームに詰まっていると思う。
一般的に丸眼鏡のレンズは、少しだけ横長の楕円になっているものが多い。縦横が同じ長さの正円の場合は縦長に見えて少し違和感が出るらしい。だから丸眼鏡と一口に言っても、各デザイナーのバランスやセンスが少しずつ出てくると思う。
一山のパーツをブリッジに使用しているのも小洒落たチョイスだと思う。メタルフレームはとかく平面的になりがちだが、ブリッジにこのパーツを配置することで少し立体感を出している。
フロントの真ん中よりも少し上に各パーツとの接続位置を持ってきている。些細なことだが、この配置だけでも少し印象や実用的な掛け心地が変わってくる。
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AHLEMというブランド全体を見ても、気を衒わないデザインの方が彼女のフレームの良さを内包しているような気がする。とにかく上品で美しい。フランス製の眼鏡にクオリティを求めたことなんて終ぞ無いが、その認識を改めさせられた。綺麗に作っている。
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上品で美しい仕上がりもさることながら、彼女の愛するバウハウスデザインにインスピレーションを受けたリム外周のレーザー刻印やテンプル外側の幾何学的なパターン。私も好きなバウハウスのデザイナー、アルバース夫妻の「ジョセフ・アルバース」も正方形を好んで使用した幾何学模様の作品をたくさん残しているが、そうしたところからインスピレーションを受けているのだろう。
「バウハウス」は名前が先行しがちなきらいがあるので、一度きちんと学んでみたい。デザインや建築は深すぎて、「ちょっとだけ調べる」みたいなことが難しいので二の足を踏んでしまう。
代理店の方にこのパターンに意味が付与されているのかを聞いたところ「無いそうです」との回答だった。良いものは良いという力強さを感じる気もする。

22金メッキのゴールド系のフレームも上品でどこか温かみがある美しさだが、パラジウムメッキのシルバー系もクラシカルで良い。昔Yohji Yamamotoの洋服を好んで着ていた時期は、こういったシルバーの丸眼鏡を好んでつけていたことを思い出す。
綺麗な理由?のひとつはカルティエなんかのジュエリー用メッキ工場を使っているらしい。そうでなくとも、貴金属メッキは美しいなと思う。鯖江で生産に携わっていた方に伺っても「これ誰がわかるねん、と思うんですが、やっぱり貴金属を使用したメッキは綺麗だなと思います」という感じなので、これを綺麗だと思った感覚は間違っていなかったし、そう思ったお客様の感覚も正しいのだろうなと思う。

AHLEMの良さは良い意味でぼんやりしている気がする。質の良さは普通のフレームに投入した時にはっきりとわかるが、「良さ」というのを相対的に捉えているとこれを手に取ることが難しく感じてしまう。ユーザー側の絶対的な良さの基準、物差が必要になる。その物差しを持つ人間はそんなに多くないだろうなというのは批判的すぎるだろうか。
こういうものが売れることは少しずつ難しくなっていくと思う。私はこういった普遍的なもの、オーダーでもない量産品だけれども手慣れた職人がきちんと作ったものにも価値を感じる。柳宗悦が提唱した「民藝」の価値観は、バーナード・リーチやルーシー・リーの存在によって自明ではあるが、日本だけのものではないなと思う。

眼鏡の取扱をスタートして個人オーダーをしようと思ったフレームのひとつがこのフレームで、皆さんにもその魅力は感じていただきたいと思う。

AHLEM Place Coluche
レンズ幅44mm ブリッジ幅23mm レンズの高さ41mm